IT技術は日々進歩を続けています。電子機器の小型化や高性能化が進むにつれ、プリント基板に求められることも増えてきました。例えば、近年大きな進化を遂げたものに、ガラス布が挙げられます。ガラス布には気泡が残留しやすいという課題がありましたが、繊維束をほぐして樹脂を行き渡らせる開繊処理や、ガラスと樹脂の密着性を向上させるカプリング処理によって、その問題を改善。積層板の絶縁性と加工性が飛躍的に高まりました。そのほか、銅箔をなくすことでエッチング量を減らし、より精度の高いパターンが作れるセミアディティブ法や、ビア内部をめっきで充電することでビアを柱状に積み上げることを可能にしたフィルドビア法などの新技術が登場しました。
現在、実用化に向けて動いている技術も多くあります。例えば、プリント基板の多層構造化に対応するために、積層板に多数の穴をあけてめっきで充填するフィルドスルービアや、コアレス基板の技術などが挙げられます。また、近年は高周波信号を扱う設計のモジュールが増えているので、より平滑な銅箔の開発と、平滑面への接着技術が注目されています。
最後に、プリント基板と電子産業の未来について。今後、クロック周波数がGHz〜THzレベルで設計されるようになると、金属導体では信号伝送が困難になります。そのため、光導波路を含むプリント基板の開発が求められるでしょう。また、電子機器の製造を印刷技術で行う「プリンタブルエレクトロニクス」の研究が進めば、インクジェットでプリント基板が作れるようになります。そのほか、カーボンナノチューブ、超電導素子、バイオテクノロジーなどの新技術を活用して、より小型で高性能な電子機器が設計されるかもしれません。それらにどう対応していくかが、今後のプリント基板の課題といえるでしょう。